ボツリヌス毒素膀胱壁内注⼊療法
ボツリヌス毒素膀胱壁内注⼊療法
ボツリヌス毒素膀胱壁内注射療法は、膀胱の過剰な収縮を抑えるために、ボツリヌス毒素を膀胱の筋肉に直接注射する治療法です。
腰椎麻酔(下半身麻酔)、全身麻酔、膀胱局所麻酔(麻酔薬の膀胱内注入)のいずれかで行います。膀胱の筋肉に細い針でボツリヌス毒素を100~200単位、20~30箇所に分けて、分けて注入します。手術時間は10~20分程度です。
主に過活動膀胱(OAB)や神経因性膀胱などで、薬による治療では十分な効果が得られない方に対して行われます。

過活動膀胱は、膀胱の筋肉の異常な収縮によって起こります。

ボツリヌス毒素には膀胱の筋肉をゆるめ、異常な収縮をおさえる作用があります。
治療には膀胱鏡を使用し、異常な収縮が生じている膀胱の筋肉に、20~30ヵ所、直接薬を注射します。

来院後、膀胱内に局所麻酔を注入した後に膀胱鏡を用いて注射を行います。
注射は10~20分ほどで終了します。
その後15分程度お休みいただいた後にご帰宅いただけます。
詳細は、受診時に説明いたします。
グラクソ・スミスクライン株式会社HPより転用
この治療により、尿意切迫感・頻尿・夜間頻尿・切迫性尿失禁などの症状が改善され、日常生活の質(QOL)の向上が期待できます。注射後の効果は数日~2週間で現れ、一般的に6か月〜9か月程度持続します。
臨床結果では、治療後に下記の副作用が報告されています。
血尿(約2%)
膀胱内に注射をすることで血尿が出ることがありますが、一時的なものでほとんどは通常で治まります。
尿路感染症(約5%)
尿の出口から細菌が入り込み、膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎などの尿路感染が生じることがあります。
排尿困難、残尿の増加、尿閉(約5〜9%)
尿が出しきれなかったり、尿がたまってしまうことがあります。残尿量によっては、カテーテルを使用して自己導尿を行っていただくこともあります。
アレルギー(1%以下)
お薬の影響により、吐き気、じんましん、発疹などのアレルギー症状が起こることがあります。
治療後に副作用が出た場合は、速やかにご連絡ください。
以下のいずれかに該当する方はボツリヌス毒素膀胱壁注入療法が行えません。

過活動膀胱の治療は、まずは生活指導に加えて抗コリン薬・β3 作動薬・漢方薬などの内服薬を用いて治療します。
多くの患者様は内服治療で一定の効果を得ますが、なかには、治療効果に乏しい、口内乾燥や便秘などの副作用で内服薬の継続が難しい、といった患者様も少なからずいらっしゃいます。
日本では人口の約15%程度、1000万人以上の男女が罹患するといわれている頻度の高い病気です。
膀胱の収縮活動がコントロールを失い、膀胱に尿が十分にたまっていない段階から、膀胱が過度に反応してしまい強い症状がでてしまう状態です。頻尿と強い尿意が頻発し(尿意切迫感)、我慢することができず、トイレに行くまでの間にも漏らしてしまう症状(切迫性尿失禁)などが発生します。前立腺肥大症、慢性的な膀胱の炎症などによる刺激、脳血管疾患の既往、精神的なストレスなど原因は様々ですが、原因がはっきり特定できないケースも少なくありません。また、膀胱の不調だと思っていたが実は腰が悪いことが原因になっていたということも非常によく見かけるケースです。しかし、このケースの診断は泌尿器専門科でないと難しく、診断がつかずいろいろな病院を受診していることも少なくありません。
診療では、他の病気の可能性も含めて、問診、排尿日誌や身体検査(腹部エコー検査、血液検査、尿検査、尿流測定など)を行います。生活習慣の見直しで症状の改善が見込めることもある病気ですので、内服治療をメインに行いますが薬だけに頼らず生活習慣の見直しや指導も積極的に行っていきます。
過活動膀胱(Overactive Bladder:OAB)とは、「急に強い尿意を感じて、我慢が難しい」という尿意切迫感を主な症状とする病気です。多くの場合、トイレが近くなったり(頻尿)、間に合わずに尿が漏れてしまう(切迫性尿失禁)といった症状を伴います。夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)こともあります。
OABの原因は大きく2つに分かれます。
神経の障害によるもの
(神経因性OAB)
脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷などが原因で、膀胱のコントロールがうまくいかなくなる場合があります。
はっきりした原因がないもの
(非神経因性OAB)
加齢や生活習慣の影響で膀胱の筋肉が過敏になることで起こります。中高年の方に多く、特に女性に多く見られます。
診断は主に問診と簡単な検査で行います。尿の回数や症状を記録する排尿日誌の記入や、尿検査・残尿量の測定などが用いられます。これにより、他の病気(膀胱炎、前立腺肥大症など)との区別が可能になります。
日本の診療ガイドラインに基づくOABの治療は、次の3つのアプローチで進められます。
生活習慣の見直し・行動療法
薬物療法
その他の治療
薬が効かない場合には、ボツリヌス療法(膀胱内に注射)、磁気刺激療法などの治療が有効です。
OABの症状は、恥ずかしさから放置されがちですが、適切な治療により大きく改善することが知られています。日常生活の質(QOL)を取り戻すためにも、気になる症状がある方は、ぜひ泌尿器科などの医療機関に相談してください。
このような患者様に対する新しい治療として、当院では、「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」を行っています。
⼀般的には、生活指導と内服薬による治療を3か月程度続けても症状改善が得られない場合にこの治療の適応となります。
「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」は、世界90ヵ国以上で既に認可されている治療法ですが、本邦でも2019年12月に承認されました。
過活動膀胱の治療でお困りの方、「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」に興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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